飽くなきスニーカーへの愛情。写真家・RKさんが〈Herringbone Footwear〉を訪ねる
中学生の頃から原宿に通い、ストリートカルチャーに傾倒していったというRKさん。その真髄にはスニーカーへの深い愛情がある。〈NIKE〉のランニングクルー「AFE」への参加を機にフォトグラファーとしての活動をスタートさせた彼は、世界中を旅する中で見つけた、各地の美しい景色や密集した建築物など、サイバーパンクな雰囲気のドラマチックな写真を撮り続けている。元々はDJとして東京のストリートカルチャーと密接に関わっていた彼にとって、スニーカーはもっとも身近な存在だ。そんな彼がSELECT by BAYCREW’S内に展開するHerringbone Footwearを訪れ、今履きたいシューズをピックアップ。RKさんらしいスニーカーの選びのポイントも教えてもらいました。
無機質なショップにカラフルなスニーカーが際立つ。
ここは、とても不思議な空間ですよね。虎ノ門ヒルズ ステーションタワーなのに、このスペースに足を運ぶと、東京のストリートにいるみたい。ガードレールやマンホールが店内にレイアウトされているのが新鮮。それでいて、全体的にグレーやシルバー、黒などモノトーンで統一されているところにこだわりを感じます。色を抑えているからこそ、カラフルなスニーカー達が輝く。全身鏡が大きいのも、全身でファッションを表現して欲しいという、この店ならではの特徴かもしれませんね。
このスペースをディレクションしているmita sneakersの国井栄之さんらしい演出やスニーカーチョイスもさすが。別注やWネームに頼らず、インラインのラインナップがしっかりと充実しているのが、何よりの魅力だと思います。最近のトレンドを捉えながらも、メーカーの個性を尊重してしっかりと掘り下げてセレクトしていることがよく伝わってきます。
仕事靴はカッコよくて合わせやすい黒スニーカーに限る。
僕は基本的に、年代やブランドを問わず、素直によいと思えるデザインが好きですね。今日履いている〈New Balance〉の「MT580RMT」もそうですが、仕事用は絶対に黒のスニーカーと決めています。汚れが目立ちにくいし、コーディネートに気を遣う必要もないから。あとはGORE-TEX®︎など機能的なファブリックが、自然に落とし込まれているかというのも重視していますね。カッコよくて合わせやすい、それが一番大事。
〈NIKE〉の「AIR JORDAN 1」は大好きなモデルのひとつ。デザイン性やシューズが誕生した背景もさることながら、僕自身気が入っているのは“つま先のフォルム”。小学生の頃からシューズが好きで、いつもずっと上から眺めていたんです。そしたらすっかり猫背気味になっちゃって(笑)。そのぐらいよく見ていました。丸みを帯びているのにスッキリしていて、ジョーダンが好んで採用した薄いソールとの相性も抜群。まさに理想の一足です。
僕は基本モノトーンしか着ないので、足元も白黒の割合が多いですね。希少価値が高くて履くのがもったいないスニーカーよりも、インラインや、〈NIKE〉のオーダーサービスで自分だけの一足を作る方が好き。あとは、定番モデルをDIYするのも楽しいですね。シューレースやデュプレを付けたり、エイジング加工を施したり。とにかく人と被らないものを履きたいんです。
あの頃を思い出す、改めて履きたい靴たち。
最近気になって手に取るのは、スニーカーに夢中になり出した中学生の頃に流行っていた、「Boon」など当時のストリートファッション誌に載っているシューズ。2000年代を思い出す懐かしいモデルですね。中学生だった僕は、社会の教科書に付属している東京の地図を頼りに、スニーカーが買える原宿近辺の土地勘を学んでいました(笑)。そのぐらいのめり込んでいたんです。それが今に繋がっているのが不思議な感じ。
〈CONVERSE〉の「ウエポン VTG HI」はずっとオリジナルの緑×白が気になって探していました。復刻モデルはアッパーやソールにエイジング加工が見られて、少しヴィンテージ調に履けるのがいい。自分の青春時代にドンピシャなのは〈Northwave〉ですね。当時も履いていたのですが、20年ほど経って大人になった今、あえて取り入れたい一足。丸みを帯びた厚底ソールも懐かしいです。仕事靴として買いたいのは、やっぱり〈HOKA ONE ONE〉。軽量でクッション性に優れ、毎日履いていても疲れ知らず。これに出会ってから、手放せなくなりましたね。海外出張にも持って行きます。急に登山をしたり、オフロードを歩くことは日常茶飯事ですから。
今は、オンラインで何でも買える時代になりましたが、新しい一足や、懐かしい一足に出会えるのはショップのいいところですね。Herringbone Footwearは広い空間の中に幅広いラインナップを揃えているので、いつ来てもお気に入りが見つかりそう。また訪れるたびに、お店の表情も変わっていくんでしょうね。