デザイナー平沢幹太さんが手がけるブランド<FOLL>を紐解く。

平沢幹太さんは理系の大学を卒業後、2020年に新卒でベイクルーズに入社した。最初は<UNFOLLOW>の販売スタッフとして働きながら、オリジナル商品の企画に関わり、1年目の9月に<FOLL>というプライベートブランドを立ち上げた。
「初めはインバウンド向けやストリートに偏ったエッジの効いたデザインでしたが、徐々に自分のスタイルである日常着にシフトしました。特に素材やとサイズバランスには徹底的に向き合い、日本の気候やライフスタイルに馴染む服作りを重視しています」。
と平沢さんは振り返る。ブランドは順調に成長し、2022年秋冬からリブランドを遂げ、プライベートレーベルからひとつのブランドとして、当初の少数展開からJOURNAL STANDARDの12店舗や他セレクトショップへと広がり、卸販売も開始。2023年秋冬からさらに認知度が向上し、売上も伴った。


「色使いも、真っ黒よりもチャコールや深みのあるネイビーなど、日本の街や自然に馴染む色を中心に色作りに取り組んでいます。デザインは極力ひかえめで、着る人が時間と共に将来的にも愛着を持てるような服を目指しています」。
と自身の服を分析する。
また、カタログやルックのヴィジュアルでは、着用者の気持ちや気分的なイメージを重視し、洋服を単なるユニフォームではなく、気持ちに寄り添うものとして表現しているのも<FOLL>らしい一面だ。


デザイナーの平沢さんは、多くの優れたブランドがある中で、自分独自の価値を提供することに意義を感じている。
「クオリティ、実用性、価格のすべてを大切にし、購入者が『買ってよかった』と思えるためのプロセスを重視していますね。その結果として、今は在庫を残さずにブランド運営ができていると考えています」。
多くの人に親しみやすく馴染みやすいアイテムを揃え、今季と来季の服が自然につながるように工夫を見せる<FOLL>のラインナップ。
「最終的に、服を通じて衣食住の中で自分にとって心地よいものを選ぶことの楽しさを、多くの方に伝えられたら良いなと考えています」
少しずつだが確実にファンを増やす<FOLL>のコレクションには、平沢さん自身が服作りを楽しみ、着用者目線の細やかな配慮が行き届いている。シーズンを超えて着られるアイテムは、今まさに時代が求めているものなのではないだろうか?
