クリスマスディナー前はどう過ごす? アートとトイに触れ、カウンターで“アペロ”タイムを!
フェスティブシーズン真っ只中、虎ノ門エリアでクリスマスディナーを楽しむプランを立てている人も多いはず。今年はレストランに直行する前に、数時間早く集合して虎ノ門界隈を満喫してみては? 〈SELECT by BAYCREW’S〉内のアートギャラリーでオリジナルプリントの美しさを堪能したり、スタイリッシュな角打ちで“立ち呑みアペロ(食前酒)”を嗜んだり…と、ディナー前に寄りたい4軒をご紹介します!
TAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYO
一年の締めくくりに、自分へのギフトを探しに“模型の聖地”へ。
2024年5月にオープンし、大きな話題を呼んだ〈TAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYO〉。世界的人気を誇る模型メーカー〈タミヤ〉の新たなフラッグシップ拠点であり、施設内には同社の現行品のほぼ全種類という約6000点が揃う。〈トラフ設計建築事務所〉が手がけた空間は、高さ約4m、全長約100mにも及ぶ陳列棚の眺めが圧巻だ。
「タミヤの今がここにある」をコンセプトに、最新プラモデルをはじめミニ四駆、RCカー、工作シリーズなどの製品からニッパーや塗料などのツールが整然とディスプレイされ、イベントスペースや1/1スケールのミニ四駆「エアロ アバンテ」も常設。実車化されたスペシャルマシンの展示エリアは、今や世界中から訪れる〈タミヤ〉ファンのフォトスポットとなっている。
デジタル化が加速する令和の時代において、“箱の蓋を開けて中を確認する”という極めてアナログな行為が残されている模型の世界。この手順がなんと高揚することか。プラモデルに精通していなくとも、“ものづくりスピリット”が詰まったこの空間には、誰しもが思わずワクワクしてしまう。「(模型の愉しみは)生きる上では必ずしも必要ではないけれど、人生においての必需品です」と語る同施設のファシリティーマネージャー・山本暁さん。まさに名言。
施設内には〈ONIBUS COFFEE〉が監修するカフェも併設されているので、待ち合わせ場所としてもおすすめ。ディナーの相手と集合して、自分の(もしくは相手への)ギフトとしてプラモを購入し、施設奥のイベントスペース「MODELERS SQURE」でさっそく箱を開けて作業を始めてみる…。そんなクリスマスの午後の過ごし方はいかがだろう?
art cruise gallery by Baycrew’s
伝説の写真家の目線になり、しばし冬空のNYへ。
2006年、初の写真集出版によって83歳にして世界に“発見”されることとなった伝説の写真家、ソール・ライター。以来、日本でも回顧展が開催され、熱烈なファンを増やし続けている稀有な存在だ。
1950〜60年代に「ハーパーズ・バザー」誌でファッション・フォトグラファーとして活躍後、ニューヨーク東10丁目の自宅周辺からほぼ離れることなく、近隣の景色を日々カメラに収め続けたライター。カラー写真の黎明期だった1950年代から、コダック社のカラーフィルム「Kodachrome」で撮り続けた作品の、発光するような赤や黄色の発色。日本の浮世絵などに影響を受けたという大胆で精緻な構図。そして何より、“隙間の写真家”とも称される、車窓越しや水滴で曇ったガラス越しなど、何かの隙間やはざまから一瞬を切り取る独特の目線。
〈SELECT by BAYCREW'S〉内のギャラリーで開催中の本展では、2013年の没後に発掘されたポジフィルムから「ソール・ライター財団」の監修のもとプリントされた作品44点を展示。全作品が日本初登場となる。ボルドーとトープの2色に塗り分けられた壁面に飾られた作品群は、1950年〜70年代のNYの生活を捉えたもの。そこに切り取られた人々の、ふとした瞬間の指先や一歩を踏み出す足元の美しさ。唯一無二の色使いはもちろん、被写体となる市井の人々へのまなざしの優しさと“心地よい距離感”が心に響く。そうしたライターの目線に、時代を超えて魅了されるのだろう。
ギャラリーなのでもちろん入場料は無料、なんという贅沢。プリントの購入も可能だ。師走の忙(せわ)しさをいっとき忘れ、色に魅入られながら、味わい深い時間を過ごすことができるはず。
PON CUE BON
広島発信の牡蠣とレモンで格別の“泡タイム”を。
虎ノ門ヒルズ駅直結、〈虎ノ門ヒルズ ステーションタワー〉のB2階に位置し、改札の目の前に広がる食のマーケット、その名も「T-MARKET」。そこでレモンイエローのタイルが一際目を引く小さなスタンドが〈PON CUE BON(ポン キュ ボン)〉。
渋谷・神泉の手打ちパスタで知られる人気イタリアン〈アウレリオ〉と広島のレモンサワーの立ち呑み店〈レモンスタンド ヒロシマ〉のコラボレーションで誕生した店で、メニューの2大看板は広島から届くレモンを使ったレモンサワーと真牡蠣。
宮崎の芋焼酎「山ねこ」にレモンを1ヶ月漬け込んだベースで作る「クラシックレモンサワー」や、広島の「竹鶴酒造」の純米にごりをソーダで割った「にごりレモンサワー」、同じく広島〈SAKURAO DISTILLERY〉のクラフトジンをベースにした 「スーパーレモンサワー」など、ベース違いのレモンサワーが実に7種類。さらに12月からは “ハシゴ酒派”のために、レモンサワーと牡蠣フライがセットになったハッピーアワーメニューも登場した(19時まで限定)。
瀬戸内・大黒神島産の真牡蠣は鮮度をそのまま味わう生食から、揚げたて牡蠣フライ、牡蠣オムレツなどアレンジも豊富。またビストロでお馴染みのウフマヨも、自慢のレモンで自家製マヨネーズを作るなど、8坪の小さな空間とは思えぬ気の利いたツマミが揃う。ドリンクはナチュラルワインもグラスで数種開けているから、生牡蠣で白ワインをキュッと、なんて楽しみ方もできる(グラス1,000円〜)。
ランチはやらず、14時からアイドルタイムなしでアルコールを出すという、酒場として一本筋の通った営業スタイルが潔い。だから夕暮れ時からのアペロ(食前酒)にもぴったりなのだ。オープン当初は立ち呑みオンリーだったが、イスを希望する声が相次ぎスツール席を設けたというエピソードからも店の愛され具合が伝わって来る。
料理に合うサワーは食前酒使いとしても有効。炭酸水の泡で胃腸を刺激して、ディナーのスターターとして活用したい!
LAMMAS / ISTINTO
食べ頃のチーズとパテの名品で立ち呑みペアリングを満喫する。
ヨーロッパ各国の優れた熟成士から輸入するチーズとナチュラルワインの専門店。フランス、イタリア、イギリス、スペインなどから届くチーズは80種類ほど、中でもその日状態の良いものが10〜15種類、温度や湿度が完璧に管理されたフルオーダーメイドのチーズ専用ショーケースに並ぶ。その眺めは壮観だ。
2014年に三宿にオープンした本店、そして六本木ヒルズ店に続く3店舗目だが、イートインや角打ちを有するのはこの虎ノ門ヒルズ店のみ。特にワインセラー前に設けられた立ち呑みの角打ちコーナーが、アペロ使いに最高なのだ。
“チーズに合う”という目線でセレクトされたワインはほとんどが自然派で、グラスは泡、白、赤、ロゼ、オレンジ…と毎日約20種類開いているのが頼もしい。抜栓料は+1,000円とかなり良心的なので、3〜4人であればセラーのボトルを開けて楽しむのもいい。
サイドディッシュはもちろんチーズ盛り合わせを。たとえばきめ細かな泡感を持つ肉厚なスパークリングなら、まろやかな白カビ系や、ジロールという専用の削り機でフリルのように削ったセミハードの「テット・ド・モワンヌ」、さらにブルーチーズにマロングラッセを添えてスイーツのような味わい方を提案したりと、スタッフが絶妙なマリアージュを考えて見立ててくれる。
健やかな素材(ミルク)を使い職人が手塩にかけたチーズを、的確な熟成と管理で理想的な味わいに育てて提供するので、味わいのポテンシャルの高さは言わずもがな。さらに2021年度の「パテ・クルート世界選手権」で最優秀賞に輝いた福田耕平シェフが作る上質なパテも扱っており、新作である鹿肉のパテ・アンクルートはほんの一口、二口だけでも最高のワインの友となる。
気軽に立ち呑みでハイレベルなペアリングができてしまううえ、角打ちエリアは開店時間の11時から利用OK! …この魅力には抗えません。ディナー前であることを忘れて、ついつい呑み過ぎないようご注意を。