おかえり、スペースエイジ展。ようこそ、未知の世界へ。
この帰還を待っていた人も多いのではないだろうか。昨年、虎ノ門ヒルズ ステーションタワーで大きな反響を呼んだ「今のスペースエイジ」展が、2026年11月6日(金)、キュレーション型のポップアップスペース〈title:〉に帰ってくる。今回のテーマは、「みんなのスペースエイジ」。さらに間口を広げ、家具や雑貨、音楽、ファッションまで、それぞれの「好き」に響くプロダクトが勢揃いする。ひと足早く、その魅力を探るため、本企画の発起人・はやぶさ氏のショールームを訪ねた。こちらの好奇心をくすぐる“未知の世界”が広がっていた。
そもそも「スペースエイジ」とは何か。時計の針を、1960年代へ——。
まだ見ぬ、はるか彼方の宇宙に、人々が未来を夢見ていた頃。その憧れから、一つのカルチャーが地球に広がった。名は「スペースエイジ」。
家具や建築に現れたのは、丸く有機的なフォルム、プラスチックやFRP(繊維強化プラスチック)の滑らかな質感、そして大胆な色使い。未来は、宇宙だけでなく、暮らしの中にもやってきた。そのデザインは世代を超え、2000年ごろの日本で再び脚光を浴びる。
そして今、新たな波が虎ノ門ヒルズ ステーションタワーに到来! 〈title:〉で開催する「みんなのスペースエイジ」展の舞台は、ぐっと身近な「部屋」。かつての未来を、今の暮らしで楽しむためのヒントが集まる。

きっと誰もが「好き」をたどれば、宇宙につながる。
「ぜひ、みんなの暮らしへ広げたい」。そんな思いを込めた今回の「みんなのスペースエイジ」展。出展するのは、発起人のはやぶさ氏と前回に続くホンダ タクロウ氏、新たに加わるふとんプール氏、宇宙飛行士の日常氏の4組。一部の愛好家が楽しんできたカルチャーを、もっと多くの人に開く試みだ。
見たことがないのに、どこか懐かしい。その魅力に迫るため、はやぶさ氏のショールームを訪ねた。
「僕自身、このカルチャーに踏み込んだのは6年ほど前。昭和レトロへの興味から始まりました。調べていくと、家具店や古着店のオーナーなど、みんなが持っているものとは違うデザインを求めて、スペースエイジを生活空間に取り入れていた人たちがいたんです。日本の80年代のバブル期には海外から家具が買い集められ、そのおかげで、国内では今も二次流通、三次流通で手に入れられる。そんな文化的な背景を知るほどに興味が深まって、気づけばスペースエイジの虜になっていました」




一口にスペースエイジといっても、はやぶさ氏の楽しみ方は、当時のものを集めるだけにとどまらない。後年のプロダクトも組み合わせ、その解釈を自分なりに広げている。
「僕らは当時を知らない世代なので、本や雑誌を手がかりに、自分がスペースエイジだと思うものを集めてきました。1960年代の家具だけでなく、その影響を受けた後年のプロダクトもあります。並べると、形や素材、色の共通点が見えてくる。そうして、自分なりのスペースエイジ像が見えてきたんです。空間を作ると、今度はそこに合う小物も置きたくなるんですよね」
昨年の会場に、家具とともに宇宙っぽいチェスや雑誌が並んでいたのも、そのためだ。年代で区切るだけでなく、形や素材、組み合わせから楽しみ方を探す。そうした今の感覚による新解釈が、ファッション、インテリア、建築、音楽、アートへと、スペースエイジの世界を広げていく。
見て、触れて、自分の目で選ぶ。
そんな独自のスペースエイジ像の背景には、研究者でもあるはやぶさ氏のたゆまぬ探究心がある。
「スペースエイジを調べることが、子どもの頃に抱いていた、宇宙の研究者になる夢とも重なったんです。僕にとって家具は、どちらかというと研究対象。収集して、比べて、カルチャーを知りたい。所有欲より、調べたい、知りたいという思いの方が強いんです」
まず手に入れ、使い、ときには分解して、構造やパーツの違いまで確かめる。その積み重ねが、スペースエイジの魅力を伝え、その世界を広げる活動の土台になっている。
「ネットで調べれば出てくることもありますが、自分で調べたり、体験したりすることに価値を感じます。デザインや時代背景だけでなく、部屋に置くとどう見えるのか、何と合わせれば馴染むのか、使い心地はどうなのか。そういうことまで、自分の言葉で話せるようにしておきたいんです」

そんな探究の面白さを来場者も体験できるのが、オリジナルと、その形を模したリプロダクトの比較展示だ。
「今回は、両方をあえて同じ空間に並べようと思います。オリジナルには、デザインやストーリーの良さがあります。でも、体型によってはリプロダクトの方が座りやすい人もいるし、オリジナルは探すのが難しいものもある。一概に、どちらがいいとは言えません。先入観にとらわれず、違いを知った上で、自分自身の価値観で選んでもらいたいんです」
集めた好奇心を、次の誰かへ。
見て、触れて、話を聞く。はやぶさ氏が自ら買って比べてきた経験は、きっと来場者が自分の目で価値を見つけるヒントになる。そして、気に入ったモノがあれば、自分の暮らしに迎えることもできる。
「モノ自体にはあまり執着していないので、調べて分かったものは手放せます。次に使ってくれる人へ渡して、そこでカルチャーが育っていけばいいなと思います」
そんな思いから、暮らしに取り入れやすい良心的な価格での展示販売を目指している。


ランプを一つ、椅子を一脚。いつもの部屋に迎えたその形が、暮らしを少し面白くする。次は何を合わせよう。そんな好奇心が動きだしたら、もうこの世界の住人だ。
つながる。ひろがる。みんなの、うちゅう。まずは虎ノ門ヒルズ ステーションタワーで、自分の「好き」を見つけよう。





