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深水光太
FASHION | 2024.4.26

スタイリスト・池田尚輝さんと行くショップクルーズ。

メンズファッションシーンで引く手あまたの人気スタイリスト・池田尚輝さんが、SELECT by BAYCREW’Sを隅々までショップクルージング。その中で見つけた今季気になるもの。名付けて“お気に入りイレブン”も紹介します。

Linen Parka 187,000円/NOAH

Photo: Hiromichi Uchida / Text: Keiichiro Miyata / Edit: Shigeo Kanno
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スタイリスト・池田尚輝さん

ファッションの知識を蓄えた人にとっても刺激が溢れている。

ゆっくり回ったら半日かかりそうなショップの広さに加え、いろいろなカルチャーがクロスオーバーしているセレクトも見応えがありました。これだけ情報が溢れている世の中なのに、まだ聞いたことがないインポートのブランドが見つかったり、スポーツ専門店に並んでいそうなトレランベストがあったり、ラックに手を伸ばすたびに「次は何が出てくるんだろう」とワクワクする、この感覚を味わえたのは久々です。自分がまだファッションに関してウブだった10代や20代の頃に、「こんな服があるのか」と感動した、あの頃の記憶に近い。ファッションの知識を蓄えた今でも、この体験ができるとは思いもしませんでした。大人もプロも満足するセレクトショップのあるべき姿を体現していると思います。

スタイリスト・池田尚輝さん

中でも、ここに来なければ出会えなかったのが、〈コナー・マックナイト〉のレザージャケット(385,000円)。一見シンプルですが、この着丈やポケットのバランスはデザイナーズならでは。最近は円安の影響でインポートの服がやや高値に感じますが、2000ドルで買えるなら悪くない。

その隣にはRHTのレザーコーナーが設置されていて、これまでに見たことのない新作の首かけウォレット(27,500円)を発見。どれも実用と装飾の中間的なデザインで、そこがツボで、以前から小銭入れとカードケースはこのブランドのものを愛用しています。最近は都内での取り扱いが減っていたので、大好きなブランドがここで手に入るのを知れたのも嬉しい発見でしたね。

シューズがずらっと並ぶ〈Herringbone Footwear〉のセレクト数も圧巻。カナダ発の〈ノルダ〉のように、ダイニーマクロスを靴に使う新テクノロジーを搭載したテック系シューズもまだ他ではあまり見かけません。アウトソールだけでなく、ミッドソールまでヴィブラム社製。こういったギア系のスニーカーは履き味を知りたくて、まず試してみるようにしています。機能面だけでなく、白を軸に、シルバーパーツとガムソールの組み合わせた配色も、とっても新鮮でした。

〈ノルダ〉のシューズ

あると、夏の装いがさらに楽しくなる!

ファッションを楽しむ上で、自分の趣向だけに凝り固まらず、あえて半歩ズレたものを取り入れるのも、時には必要なことだと思うんです。それが装いの鮮度にも繋がる。その点、SELECT by BAYCREW’Sの受け皿は広い。〈NOAH〉のコーナーに行けば、トラッドなローファーにタッセルとモンクストラップをダブルで装飾した新解釈のデザインのシューズ(40,700円)に出会えたり、大人も冒険したくなるヴィヴィッドなビーチショーツ(19,800円)も揃っている。夏になると、軽装になるからファッションがつまらなくなるという意見もありますが、そんな時にこそ活躍するのが、これらのアイテムです。特にビーチショーツは、気温が32℃を超えた夏日の勝負服にしたい。そんな風にファッションを捉えると、夏の装いがさらに楽しくなります。

〈NOAH〉のシューズ
〈NOAH〉のビーチショーツ

ウィメンズコーナーにも、気になったものが・・・。いい雰囲気の布だなと思って手に取ったら、イタリアの老舗ストールブランド〈デスティン〉のリネンストール(29,700円)でした。無地で、シンプルで、大判と、この3拍子揃った格好いいものが意外とない。それが、まさかウィメンズコーナーで見つかるとは! 改めて、隅々まで見逃せないショップだと思いました。日中は暑くて、朝晩は涼しい、今みたいな時期にぴったり。オフィスや室内でもおしゃれに装いたい人は、こういうシンプルなデザインなら冷房対策ということにして首にさらっと巻ける。

〈デスティン〉のリネンストール

どう使おうかはまだ決めていないけど、飛びつきたくなるもの。

逆に、使い道はまだ思いついていないけど、とにかく飛びつきたいと思うデザインのアイテムもありました。一つが、〈エリック・ホグラン〉のガラスボール(17,600円)。ポテっとした作風で知られますが、このガラスボールはまさにそれ。無色透明よりも存在感のあるライトグレーで、好みの佇まい。ただ部屋に飾るのもいいし、リビングのリモコン類を入れるのもあり。あとは、玄関の小物入れにしたり、水を張って花を生けたり。どれかに絞られず、気分で用途を変えてもいい。とにかく、家に連れて帰りたいと思った逸品です。

色々なカルチャーが混在する空間だから、スポーツ専門店に並ぶようなギアがより粒立って見えてきます。〈SEALSON〉のバッグベスト(40,700円)はまさにそれ。日常使いしようか、バッグの機能が生きるレジャーに久々に出かけようか、これをきっかけに見様見真似でトレランに挑戦しようか・・・。とにかく、このバッグがあると刺激的な時間が訪れることは間違いありません。生活にこういった変化を与えてくれるのも、新アイテムをワードローブに仲間入りさせる楽しみの一つ。

〈エリック・ホグラン〉のガラスボール
バッグベスト

ショップの中が、一つの街にいるよう。

暇さえあれば、本屋に行く。それくらい生活に馴染んでいるのですが、ショッピングついでに立ち寄れる〈title:〉が併設されているなんて最高ですね。定期的に企画を変えて、棚に並ぶ本のセレクトがいつも新鮮だと、足を止めてじっくり読みたくなる。エルズワース・ケリーの作品集は、自宅にも何冊かありますが、「Plant Lithographs」(Berkshire Botanical Garden/5,500円)は見たことがありませんでした。コツコツと情報収集しておくと、次に美術館での大きな展示があった際に、作品の理解がより深まったり、知識欲を深めるきっかけにもなります。

〈title:〉
エルズワース・ケリーの作品集

ショップの隅々まで見て回って、小腹が空いたら、〈THE STAND FOOL SO GOOD(S)〉のリッチなホットドッグ(1,320円)を片手にひと休み。軽食にちょうどいいボリューム感。テイクアウト用の紙容器はとても食べやすい形状で、ちょっとした気遣いも完璧でした。

〈The Stand〉のホットドッグ

たまには家族や友人のために! ショップクルージング番外編。

ここまでで紹介できなかったものの中には、友人の祝い事や家族への手土産にぴったりなものがたくさんありました。その中から、これはウチの子供たちも喜びそうというものをピックアップ。フランスメイドの〈ADADA〉のぬいぐるみ(マウス 32,450円、ベアー 15,400円)は、リビングに置いても様になりそうな佇まいで、大人も癒されるデザイン。実際に、洋服に用いる生地が使われていて、片耳だけリフレクションになっていたり、こだわり尽くし。悩ましい、出産祝いにもぴったりですね。

SELECT by BAYCREW’Sは、目的なしにふらっと立ち寄っても、自分に必要な何かが見つかる。それくらい刺激が溢れていました。

ぬいぐるみ