スタイリスト梶雄太のTシャツ論。
「Tシャツって、すごくシンプルなアイテムなのに、実は一番選ぶのが難しいんですよね」
そう話す梶さんにとって、Tシャツ選びの基準には、長年変わらない“ベース”があるという。
「僕の中ではアメリカの定番ボディブランド〈プロクラブ〉のTシャツがど真ん中なんです。もう25年くらいずっと着てる。冬でも夏でも、まず最初に手に取るのはこれ。タフさとか頑固さみたいなものが、自分の基準としてある気がします」
その一方で、真夏になると気分は少しずつ変わっていく。
「6月、7月くらいになって暑くなると、また別のTシャツを探したくなるんです。その時の自分の服の気分とか、街で見かけるものとか、そういう感覚と照らし合わせながら、“今の自分と気が合うもの”を自然と選んでる感じですね」
梶さんが選んだ4枚の白T。
「白Tって簡単そうで、本当に難しい。例えば昔からある〈ヘインズ〉みたいな定番があるからこそ、別注とかブランドごとの差がすごく見えるんです。ちょっと黄みがかってたり、サイズ感がコンパクトだったり。それぞれ微妙に個性がある。その違いを結構気にして見ています」
しかも、その感覚は自分一人の視点だけで完結していない。
「職業柄なのか、人の服がめちゃくちゃ気になるんですよ。会う人会う人に“それどこの?”って聞いてる。むしろ自分のアンテナというより、人から情報をもらって真似してる感覚に近いかもしれないですね」
周囲の人の着こなしや空気感を、自分なりに咀嚼する。
「例えば“〇〇さんがこれ着てるなら、自分にも合いそうだな”とか、勝手にサンプリングしてるんです。聞いて、見に行って、試してみる。その積み重ねで、自分のフィルターを通したオリジナルができていく感じですね」
Tシャツを“ファッション”として見る視点も独特だ。
「例えば、この<Handvaerk>のTシャツって生地はすごく繊細なのに、形はタフなボックス型だったりする。そのアンバランスさが面白いんですよ。普通ならもっと綺麗なシルエットにしそうなのに、あえてアメリカっぽい無骨なボディにしている。その組み合わせに惹かれる」
大切なのは、一つの要素ではなく“全体のバランス”だという。
「結局、デザイン、生地、サイズ感、タグ、グラフィック、その全部の混ざり方なんですよね。どこか一点じゃなくて、“何がどう入り組んでいるか”にファッションっぽさを感じる」
グラフィックTに対しても、その視点は変わらない。
「最近って大きく一発でプリントを載せるものが多いけど、例えばこの<blurhms ROOTSTOCK × JOURNAL STANDARD>のモチーフが3つ並んでるデザインとか、ちょっとポスターみたいな配置とか、そういう“乗せ方”が気になるんです。雑誌のページデザインとかタイトルのレイアウト感覚に近いかもしれない。結局、Tシャツデザインのセンスって“配置”なんですよね」
梶さんが選んだ3枚の白グラフィックT。
「たぶんTシャツって、その時の自分の気分が一番出る服なんですよ。だから毎年、夏になるとTシャツを買ってしますんですよね」



















