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大平かりんさんと小川夢乃さん
モデルのAOIさん
BerBerJinディレクター 藤原裕さん
FASHION | 2025.10.24

大平かりんさんと小川夢乃さんに聞く、寒くなったら着たいもの。

寒さを感じ始める季節、服選びもアップデートのタイミング。ファッション感度の高い、エディターの大平かりんさんとスタイリストの小川夢乃さんが、いま気になる“冬に着たいもの”について語り合いました。今季のトレンドからスタイリングのヒントなど、おしゃれのプロだからこそ知っている寒い季節の楽しみ方とは?

photo: Hiromichi Uchida / text: Minori Okajima / edit: Shigeo Kanno
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大平かりんさんと小川夢乃さん

服の選び方が、もっと自由になっている

小川「最近、これってレディース?あれ、メンズ?って確認することが減った気がしますね。タグを見る前に“これ着たい”って思えるかどうかがいちばん大事なんだなと」

大平「私もまさに同じ。最近はユニセックスというより、ボーダーレスに近い感覚。例えばちょっと前まで“袖が長すぎるかな?”って思っていたようなジャケットも、今着ると“このダボっと感、むしろ可愛い”って思える。自分が心地よいと思えるサイズやシルエットを、男女の枠にとらわれず選べるようになったのは大きな変化だと思います」

小川「ショップでも、ラックの前に立った時の直感を大事にしています。メンズコーナーでも“あ、これは着たいかも”って思うものは多いし、むしろその意外性がスタイリングに面白さをくれるんですよね」

大平「おしゃれって、ちょっとした違和感とかあれ?って思えるバランスの中にある気がする。そういう意味でも、服の選び方はすごく自由になってきてると思います」

黒と白じゃつまらない!今年着たい色とは

大平「この数年はわりと黒一辺倒なスタイルが主流だったと思うのですが、今年はちょっと違う色も着たいかもって気分になってきていて。特に気になるのがブラウンやチャコールグレー。黒と同じように使えるけど、どこか柔らかさや温もりがあって、今の空気感にフィットする気がします」

小川「わたしは私服でもスタイリングの仕事でも、久しぶりに差し色を入れてみたい気分!特に赤が着たい。ちょっと挑戦かなと思いつつ、今の自分にはすごくしっくりくる色なんですよね。ベーシックな装いに一滴赤を入れるだけで、気持ちも変わるし、視線もグッと引きつけられる気がして。昨今はバレエコアのトレンドなどもあり、ペールトーンなど柔和な配色がトレンドでしたよね。でも今季からは少しビビッドな色も取り入れていきたいです。<THENIME>が<ODAKHA>に別注した真っ赤なニットは、編み目がざっくりとしているので重ね着もしやすく、色々なアイテムに合わせられるので重宝しそう」

大平「発色がよくて存在感があるけど、肩のラインとか着こなしやすいデザインもあってかわいいですね。私が気になるのは、このエコファーコート。袖が取り外せるんですね!身頃がボリューミーだから、スタイリングに合わせて変化がつけられていいかも」

小川「すごくファーがリアルで、ヴィンテージで選んだかのような重厚感もある。でも実際はエコファーだから軽くて着心地もいいから、色々なシーンで羽織れるかもしれませんね。サイジングもすごく合ってる」

大平「わたしはいつも冬はMA-1を着ることが多いので、ちょっと新鮮かも。ファーコートが欲しいなと思っていたので、今年の秋冬の買い物リストに入れておこうかなと思います。でもこの、ファーコートとMA-1を合体させたアウターもかわいいな。ボリューミーだけどコンパクトなサイズ感もきれい」

アンバランスさが心地よい時代へ

大平「最近、普通のきれいめパンツより、どこかクセのあるボトムスを選ぶように。レザーパッチがついたデニムとか、ほどよく装飾的なアイテムに惹かれます。スタイリング全体にちょっとした違和感が出るような、アンバランスさが心地よく感じられるんですよね」

小川「分かる!少し前まではシルエットを綺麗に整えることが正解だったけど、今は“あえて崩す”ことが洗練されて見えるというか。パンツもバリエーションが本当に広がった気がする。ハイウエストだけじゃなくて、2000年代ブームで再燃したローライズも可愛いし。以前はスタイルアップを最優先してたけど、今は“どんな気分をまといたいか”で素直にファッションを楽しむ人が増えてきているように感じます」

大平「そうそう、“体型に合う”よりも“気分に合う”が優先されていると思います。だからこそ、着こなしの自由度が高くなっていて、シルエットやサイズ感に“これが正解”っていうのがないのがいいなと」

今のファッションは着こなしを楽しむ

大平「正直、今ってインポートブランドの服がすごく高くなってしまって、エレガントに行く余裕がないって感じることもありますよね」

小川「昔は頑張ってバイトして一着買うみたいなことが普通にできたけど、今は手が届かないものも増えてきた。バッグひとつとっても、気軽に買える存在じゃなくなっている気がします」

大平「でも、だからこそ着こなしで楽しむっていう空気が心地よくて。今のファッションって、知恵でスタイルを楽しめる余白があるのがいいなと思います。SELECT BY BAYCREW’Sでも古着をミックスした提案があったりして、そこに新鮮さを感じますね」

小川「確かに、今って正解を着るというより、自分らしく遊ぶのがスタンダードになりつつありますよね。昔は“価格の高い服をきちんと着こなす”ことがステータスだったけど、今は“おしゃれしたい気持ち”をどう形にするかっていう自由な時代になっているなって」

大平「ファッションって、我慢して頑張るものじゃなくて、楽しませてもらうものでもあると思うんです。価格やルールに縛られずに、もっと軽やかに、もっと自由に。それが今の空気感で、すごく好きですね」

2人が選んだアイテムはこれ!

大平さんセレクト

「ボリューミーなんですけど、それが逆にかっこよく決まる。ファーの質感も華やかで上品な雰囲気も備えているのが魅力ですね。アウターとしては手が取りやすい価格帯もうれしい」<LAYAS> ¥52,800

「この秋冬、センシュアルな素材のレーススカートが気になっています。赤みがかったブラウンの色味がとてもきれいで、街に溶け込むちょうどよい甘さを感じました。デニムの上に重ねて、素材や雰囲気のギャップを与えたいですね」<FUMIKA UCHIDA> ¥71,500

「定番ものの革靴って、ちゃんと持ってなかったんです。でも最近、1足きちんとしたものが欲しくなって。コーディネートを引き締める役割としての黒の革靴は、足袋仕様で少し個性があるのがトライしやすそう」<Maison Margiela> ¥181,500

「秋冬は茶系のグラデーションを楽しみたい気分。黒が入ると急に全体が締まりすぎちゃうので、今年はカーキのレザー小物を。曖昧な色と色をつなぐ中和剤みたいな存在にぴったりです」<Deuxième Classe> ¥52,800

小川さんセレクト

「クラフト感のあるハンドニットは、ざっくりとした編み地で表情豊か。中に別の色のアイテムを重ねてもかわいいし、ワンピースなど着丈が異なるものを足しても」<ODAKHA> ¥86,900

「今季はブラックカラーのウェアを迎えることが多いですね。このアウターはリバーシブル仕様で、ボタンの留め方で雰囲気も変えられる。作りが丁寧なので、子供が大きくなったときに譲ってあげられそう。最近はそういう視点で服選びをするようになってきました」<TONYWACK> ¥324,500

「スタッズのついたデニム、昔は“ロックすぎるのはちょっと…”って思って避けていたけど、最近ようやく似合うかもって思えるようになってきました。ブラックカラーのデニムなので大人っぽく合わせられますね」<TANAKA> ¥79,200

「難易度が少し高いティアドロップ。テンプルがメタルで華奢だから、初めて挑戦する方にもかけやすくておすすめです。大ぶりなフレームもかわいいですね」 <PROJECT PRODUCT>  ¥46,200